2021年4月9日に公開された映画「街の上で」。
僕の地元でも奇跡的に公開されていたので観に行って来ました。
すごく面白かったので、感想や自分なりの考察をしていきたいと思います。
あらすじ

古着屋で働く荒川青は、恋人に浮気された上にフラれたが、いまだに彼女のことが忘れられない。そんな青のもとに、美大に通う女性監督から自主映画への出演依頼が舞い込む。行きつけの飲み屋では常連客から「それは“告白”だ!」とそそのかされるが——
映画「街の上で」公式サイトより
キャストが本当に良い。全員ハマり役。

この映画を観終わった後に、キャストの方々がこの作品のことをどのように語るのだろうかと、とてつもなく気になって、Youtubeで見漁りました。(といってもいくつかしかありませんでしたが・・・)
そうしたくなるくらい、各キャラクターがハマっていました。
主演である若葉竜也さん。
「街の上で」の監督をつとめた今泉力哉監督の別作品「愛がなんだ」でも非常に素敵な演技をされていたので、彼が今泉監督とタッグを組むと聞いていた時点で絶対に観たいと思っていました。
この物語は、そんな若葉さん演じる荒川青を中心とした会話劇のような形で進んでいきます。
その中で、中心となるのが四人の女性。
ぜひとも観てもらいたいので、詳しくは説明しないでおきます。
彼女たちのキャラクターは本当に各々が魅力的で、彼らが織りなす会話の中から魅力を存分に感じることができます。
観ていて非常に心地よかったです。
この映画は下北沢を舞台にしているのですが、下北沢の雰囲気やカルチャーに密接に関わりのない人でも十分に楽しめることができるのでぜひ一度映画館へ足を運んでみてください。
ここからは、実際の作品の中身について話していくのでネタバレありになります。
作品をすでに観た方だけ読んでもらえると嬉しいです。
「街の上で」の中で考えたくなるシーン考察(以下ネタバレあり)

「街の上で」は作品自体は非常に真正面から受け取りやすいものになっており、考察話で花を咲かすというよりは、単純によく作り込まれている作品を受け取るという作品であるように僕自身は印象を受けたのですが、それでも行くつかこれはどうなんだ?と話したくなるシーンがいくつかありました。
監督から既に種明かしをされているものも含めていくつか紹介していきたいと思います。
シーン①各登場人物は、青への恋愛感情があったか否か。

最初は、おそらく鑑賞者皆が一番気になったであろうこの部分について語りましょう。
(1)川瀬雪編
言わずもがな。好きです。
ただ、今回の復縁って、正直どうなんでしょうか。
また同じ過ちを繰り返すのか、特に繰り返さず青への恋愛感情が現状維持されるのか。
そこは少しモヤッとしますが。
幸せならOKです。
(2)田辺冬子編
古本屋で働いている冬子。
川辺さんとは不倫関係にあったわけですが、今は誰も相手はいない状況ですよね。
最後の卒業制作上映の際には、好きだと明言はしていないものの、好きだったら何なんですか!というやや怒りに身を任せた告白をしています。
僕の意見から言うと、好きな気持ち、あると思います。
燃えるほどの感情かは別として、まあ青が告白したらYESというくらいの好意は寄せていると思いますね。
相手がいる人ばかり好きになるという側面から見れば、青は途中から相手がいる状況になっているのも加点ポイントです。
最初は恋愛感情じゃなかったけど、じわじわ恋愛感情になっていた説と最初からある程度恋愛感情があった説は、彼女の仕草をどう見るかで変わってきそうですね。
僕は、じわじわ恋愛感情になっていた説に一票です。
不倫について質問をした翌日、直接謝ったあたりから、こいつなかなか素直やん・・・となっていたように見受けられました。
(3)高橋町子編
町子さんは、恋愛感情、無いです。
この物語を通してわかるように各登場人物の中で一番人間らしい面が垣間見えます。
四人の中で、普段話すときにダントツで愛想良いのが高橋町子という女性。
ただ、少し状況が変わると急激に強さが表面化します。
感情があらわになり、言葉遣いも荒くなる。
飲み会での会話、しっかり聞き取れなかったけど、青に役を頼んだのも恋愛関係か何かで強がって演技経験者を使わず、似たような人を見つけて誘ったような言われ方でしたね。
実際に青に役を頼むときは、ずっと頼みたいと思っていたように伝えていたのも印象的。
最初から何の恋愛感情もなく、単純に本を読んでいる姿が画になるビジョンが見えるし、やってもらいたいなくらいのテンションでしょう。
青の通常時の読書シーン、確かに画にはなってたな。
(4)城定イハ編
イハが一番難しいところですね。
確実に好意はあるんですけどね、それが恋愛感情なのかどうかは最後まで微妙なところでしたね。
僕の意見は、恋愛的に好きだと思います。
冬子と会った時にまだ雪と続いているか聞くところ。
続いていると知りながら、店に遊びに行っちゃうところ。
好きじゃなかったら絶対行かないと思うんですよね、意味ないし。
あと、雪と鉢合わせたときに「雪さんの話ばっかりしてましたよ、今でも好きですよ」という話をするシーン、イハが青のことを好きだとしたら、それを言ってしまうことで雪の方に行ってしまうかもしれないのに、幸せになってほしいと思い発言している事になるので、本当に素敵な女性だということになります、恋愛的に好きな場合。
以上、うるさくてごめんなさい。
シーン②映画に青は映っていたか。

卒業作品に青が全く映っていなかった事に対して冬子が怒っていたのに、イハが青の店に行ったときには青は映っていたという発言をした問題。
これについて、僕の気持ち悪い妄想上の話をさせてください。
読み飛ばしていただいて結構です。
まず、青は映画には映っていません。
冬子が怒り、監督の町子がそれにキレてるわけですから、映っていないに決まっています。
もし、これで映ってるシーンがあるのであれば、彼らはどうかしています。
パラレルワールド的な話にまで広がってしまいかねません。
ということで、イハが嘘をついたという事になります。
何故嘘をついたのか。
僕は、青と連絡を取りたいから、に他ならないと思っています。
ひねくれてますかね。
映っていなければ、撮影で生まれた関係性は終わってしまう気がする、彼女(雪)もいるし。
でも、それが映っていたのであれば、作品で二人の関係は繋がれているような気持ちになれる。
イハはその選択肢を残しておきたかったように見えました。
シーン③イハがお茶の上で広げたのはどういう意図だったのか。

これは、監督が明確に答えを出してますね。
リハのときに、若葉さんが「これお茶に当たらないですかね」的な発言をして、それを監督がよし台本に入れようとなったみたいです。
急に入ったけど鑑賞者側にはしっかり残るやり取りでしたね。
イハの返し、結構意味わからないし。
シーン④最初に出てきたタバコをくれた女性は何だったのか。最後まで残っていたのはなぜ?

これも監督が答えを出してくれてます。
何か起こりそうなのに結局何も起こらない関係、現実ではよくありますよね。
こっちは起こしたいけど相手は一ミリも興味ないパターンとか。
そういうのを描きたかったとのことです。
こういう隠れたディテールが作品の満足度に着実につながっているように感じます。
逆もまた然りで、全然どうでも良いような人が実はどこかで繋がっていたり。
はい、自分語りエセ警察官や恋人もどきのことです。
そして、最後までタバコが残っていたのは何故か。
これはよくわかりません。
綺麗で印象に残っていて捨てられないのか・・・
だとしたら、雪はあのタバコ、燃やした方がいいですね。
終わりに

かなり好きな映画だったので、思いの外語ってしまいました。
これを最後まで読んでくれたあなたは本当に珍しい方だと思います。
本当にありがとうございます。
良かったらインスタから感想を教えてください。
@base_eddieで出てきます。
それでは、また。
コメント